妖気が漂っていたあの不思議な家

神さま・仏さま・宇宙

 

昔、私がまだ小学生だった頃の話です。

家の近くに不思議な家がありました。

どう不思議かと言いますと、その家は洋風な豪邸、外壁はレンガ造り。

家の周りには塀があって、その家を頑なに守っている感じでした。

 

子供の私から見ても、その姿は住宅街の中で異なる何かを放っていました。

玄関へとつづく入り口には大きな門扉があり、それは重厚で何かを拒むような印象を与え、その横には看板のような表札のようなものが掲げられていたのを覚えています。

誰か住人はいるはずなのに、人の気配はあまり感じられず、ひっそり静まりかえっています。

 

南に面した道路側に南向きの門扉・玄関があるのですから、本来ならば家相的にも陽のエネルギーを十分に得られる家であるはずなのに、なぜかその家の前を通ると陰のエネルギーしか感じられなかったのです。

その家の手前までは明るい軽やかな空気があっても、一旦その家の前にかかるとヒンヤリと空気は冷たく、日差しもかげってしまうようなのです。

 

大人達の会話に耳を傾ければ、どうやらこの家は住人の定着率が悪いらしいようです。

しかし、立地も良く便利な場所で見た目も立派ため、誰かしら入居してくる物件でした。

 

塀越しに見える庭には多くの樹木が植えられていて、造園業者による手入れが行き届いているのに、なぜかうっそうとして見えたり。

また、庭には池もあって、見事は錦鯉が泳いでいるらしいとも。

しかし、池と聞いても清らかな水があるというより、水場があることによる澱みを感じてしまうのでした。

 

このように、印象的な部分ははっきりと覚えているのですが、今となっては私の記憶もかなり薄れて曖昧になってきています。

それでも、負のイメージ・陰のイメージ・澱み・暗がりが現れてくるのです。

私が覚えている中で、一番妖気を漂わせていた時期は、異国の人が住んでいたと言われていた時です。

アジア系の方だったようですが、まるで妖術使いのような雰囲気を家から感じました。

 

その後、知らぬ間にその家は取り壊されて、現在では大きなマンションが建っています。

そのマンションからはあの時のような妖気は全く感じられませんし、明るさもあります。

 

私も大人になり、不思議な家が建っていた場所の南側に面している道路を通ると、時折当時のことを思い出します。

今一度、あの不思議な家を眺めてみたいなとか、あの家の住人は一体何者だったのだろうかと考えてしまうのです。

 

あの不思議な家のことを思い出す人はいるのでしょうか。

記憶の片隅に残している人は今もいるのかもしれませんね。

 

 

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